監督・山田洋次が、十五年間温めていた念願の企画――― 東京・下町の夜間中学校を舞台に、様々な境遇を持つ生徒たちと先生との交流を描いた感動作――― 下町の一角にある夜間中学の教師・黒井(西田敏行)は、卒業式も近づいたある日、卒業記念文集のための作文の授業を行う。原稿用紙にそれぞれの思いを綴る生徒たちの横顔を見ると、黒井は彼らとの思い出が鮮やかに甦ってくるのだった。やがて給食の時間に、クラスの一員・イノさん(田中邦衛)が死んだという悲しい知らせが届く。突然の訃報に悲しむ黒井と生徒たちは、食後のホームルームの時間、イノさんの思い出を語り始める。不幸な生い立ちとその後の苦労、そして突然病に倒れ、故郷の山形へ帰ったきり帰らぬ人となったこと。 イノさんの人生を語り合ううち、いつしか黒井と生徒たちは、「幸せ」について話し合うようになっていた……。